この戯曲は、身に徹して人生の悲哀を体験した作者が、親鸞聖人を主人公として、具体的に全人格的に自己の内的生活を表白したものである。
大正五年の発表以来、人生問題に悩める人々の導きとなり、思想界に偉大なる感激を与え、今もなお多数の読者を得ていることは、この作の不朽の生命を証明するものである。
朱雀大路の荒れはてた羅生門を舞台に展開する凄惨な人間絵巻『羅生門』、漱石が激賞した『鼻』、いずれも今昔物語・宇治拾遺物語などに素材を得たもの。
どの作中の人物も、作者の機知縦横の筆によって、現代のわれわれにきわめて身近な人間として描きだされている。
芥川王朝物の第一冊として編集した。
地獄変の屏風を画くため、娘を火にかける異常の天才絵師を描いた『地獄変』、映画「羅生門」で一躍世界に名を馳せた『藪の中』など、芥川王朝物の第二冊。
彼は古い物語の中の人物を見事に近代の中に蘇らせ得た。
他に『運』『道祖問答』『袈裟と盛遠』『竜』『往生絵巻』『六の宮の姫君』『二人小町』を収める。
『河童』はある精神病患者の談話を筆録したという形で書かれたユートピア小説である。
ここに描かれた奇怪な河童の国は戯画化された昭和初期の日本社会であり、また生活に創作に行きづまっていた作者の不安と苦悩が色濃く影を落している。
脱稿後、半歳を出でずして芥川(1892-1927)は自ら命をたった。
芥川竜之介を小説家としてよりもむしろ随筆家として認めている人が少なからずある。
この『侏儒の言葉』は、その最も光彩陸離たるもの。
明治以来諸才子争って泰西のアフォリズムの形式を模したが、その鋭利と辛辣とにおいて、その教養の多面と表現の自由とにおいて、これに並ぶものはないとさえいわれる。
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